イラスト/晏嬰亮

世界図書館が、世界群の歴史ではじめて、他の世界へ移動する安定した手段を発明しました。その成果が世界間鉄道です。世界群の外には、プランタジネット朝に仕えた錬金術師ディラックが、禁書『虚無の詩篇』で夢想した<ディラックの空>が広がっています。この鉄道はこの虚無の空間を旅して、ロストナンバーたちを別の世界へと送り届けます。現在、世界図書館が運営する世界間鉄道は「螺旋特急ロストレイル」と呼ばれる列車です。

ロストレイルは現在、12台が運行していますが、今後、世界図書館の活動領域が広がれば、新しい列車も造られるでしょう。

ロストレイルはナレッジキューブを燃料として走行します。線路は、ロストレイルの走行に先行して虚空に出現し、走行後に消滅します。移動がよく行われる世界には<駅>が建造されていますが、そうでない場所に停車するときは、<停車場>を創造します。<駅>のある世界では、世界内に侵入して走行することも可能ですが、ロストレイルは極力、その世界の住人に目撃されない場所に出現します。

■ロストレイルでの旅
ロストレイルにはコンパートメントの一等車両から、通常の座席である三等までありますが、いずれも快適な旅が約束されています。食堂車や車内販売もあります。目的の異世界までかかる時間は、そのときどきで、まちまちであるようですが、数時間~一日程度が一般的です。

■車掌
車掌 ロストレイルには1台につき1人ずつ『車掌』が搭乗しており、鳥型のアシスタント機械・アカシャの助けを借りつつ車内のすべてを取り仕切ります。『車掌』は奇妙な仮面で素顔を隠し、外見では個人の区別がつきません。服装は同じ型のもののいくつかの色違いが確認されています。『車掌』は列車の運行にかかわること以外は決して口にしないため、かれらについて詳しいことを知っている人は誰もおらず、さまざまな奇怪な噂が流れています。

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螺旋特急ロストレイル

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