イラスト/ minne(imzv3289)
おとこのこって何でできてるの? ぼろきれやカタツムリ 子犬の尻尾 そんなものでできてるよ おんなのこって何でできてるの? お砂糖とスパイス 素敵な何もかも そんなものでできてるよ (マザーグース「What are little boys made of」より) 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * 時間というものが停滞している0世界で暮らす人々も、季節のうつろいとは無縁でいられない。冒険旅行から帰ってきたロストナンバーたちは、彼らが接してきたばかりの異世界の空気を連れたまま、ホームに降り立つからだ。 壱番世界では、真夏の太陽が波打ち際の飛沫をきらめかせるこの時期、ターミナルの雰囲気も人々の服装も、はじけるような夏の活気をまとっている。時が動かなくとも「ひと」は決して停滞はしないのだと強く感じるのも、この季節ならではのことだった。 それは、百貨店ハローズにおいても同様である。クリスマスにはテディベアを探す人々であふれるこの百貨店は、季節感を取り入れた、凝ったディスプレイを行っていることでも定評があった。 淡い薔薇色の煉瓦と、くすんだ銀色の大理石で造られた店舗は、古く大きな、そして重厚な洋館をイメージさせる。品揃えは端正かつ豊富で、ここでしか買えない可愛らしい雑貨類や、選りすぐりの茶葉、繊細な菓子類、珍しい果物などは、アリッサ館長や女性司書たちからも高評価を得ているらしい。 「わ。これ、氷の彫刻よね?」 エントランスのディスプレイに、ティリクティアは目を見張り、息を呑んだ。友人たちとの待ち合わせにここを指定したのはティリクティアであったが、この時期の演出を見るのは始めてだったのだ。 涼やかな金の瞳に、ミニバラのポプリと蔓草をまとった3体の彫刻が映り込む。 ひとつは、高貴な女神を思わせる女性像。ひとつは、威厳のある、しかしどこか幻想的な雰囲気のある男性像。ひとつは、悪戯っぽい表情の、小さな妖精像。 「氷、じゃない。冷たくない。これは……、ガラス」 森間野コケが小さな手を女性像にそっと伸ばし、触れて確かめる。滑らかで心地よい感触は、コケの頭にオレンジ色のポピーをふわりと咲かせた。透明度の高いガラス製の彫刻は、あたかも氷を造型したような清涼感を醸し出している。ガラスならば溶けて商品や顧客の衣服を濡らしたりしない、ということなのだろう。 「……ふむ。この女性像はおそらく、女王タイターニア。ならばこちらの男性像は、妖精王オーベロンではないかと思うが、どうじゃ?」 茶色の瞳を知的に細め、ジュリエッタ・凛・アヴェルリーノはひとつひとつを仔細に検分していたが、ふと、サシャ・エルガシャを振り返る。 「さすがジュリエッタちゃんだね! ワタシもそう思う」 濃紺のエプロンドレスを楽しげに揺らし、彫像の周りをくるりと眺めていたサシャは、大きく頷いた。きらめく黒曜石の瞳に、心持ち、大人びたやわらかさが宿っている。 「真ん中の妖精はパックだよねー」 そしてサシャは、百貨店ハローズの今期の演出テーマを特定した。 「『真夏の夜の夢』なんだね」 ――さて。 それはそうと、女の子4人の本日のテーマは『お泊まり会』である。 ターミナルでお買い物をしてからプールのチェンバーで遊んで、ティアちゃんの家に行って夕食を食べて、お菓子をつまんで紅茶を飲みながらのパジャマパーティーかたがた恋バナと枕投げをしちゃいましょうティアちゃんちには可愛い家具とロマンチックな天蓋付きのベッドがあるのよね〜な、無骨な男性ロストナンバーが聞いたら涙目で五体投地しそうな乙女限定企画なのだった。 そんなわけで。 乙女たちはさっそくお洋服とか水着とかお土産とかを買いに……いこうとした。 が、その前にやはり、スイーツである。 ハローズ地下のイートインコーナーは、この時期、南国の果物をふんだんに使ったメニューが充実しており、それも、ティアたんがハローズに行きましょうと提案した理由のひとつだった。 もちろん、サシャたんやジュリエッタたんやコケたんに異論のあろうはずもない。 「ピーチマンゴーのパフェとパパイアとミルクのジュースとミラクルフルーツのジェラートとライチとパッションフルーツの盛り合わせをお願いします!」 「ティアちゃんの、美味しそう! ワタシ、この『タピオカ入りトロピカルフルーツ、ココナッツミルクのふわふわメレンゲ添え』にする」 「コケ、グリーンマンゴーシェイク、飲む」 「どれも美味しそうじゃが、水着が入らなくなったら困るのう。とりあえず、ドラゴンフルーツのサラダと、フレッシュオレンジのシャーベットから始めようぞ」 スイーツを思いっきり堪能してから、ティアは店員に耳打ちをした。 皆が楽しんでいる様子を見て、今日の夕食とお菓子も、家に届けてもらおうと思ったのだった。 (ハローズのケータリングはちょっぴり贅沢だけど、たまにはいいわよね?) 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * 水着を買いにいこうか、それとも先にお土産を見ようか、などと、4人がフロア移動を始めたときである。 非っ常〜に馴染み深い、聞き覚えのある少女の声が響き渡った。 「超セクシーで、超大胆な、露出度高めのビキニください!」 「あの、お客様……」 「身体の線がばっちり出るやつねッ」 「そのう……。お客様には、もっとお似合いのものがあるのでは……?」 腰に手を当ててふんぬっ、と胸を反らしているのは、誰あろうエミリエ・ミイである。 笑顔が強ばっている女性店員の隣で、アリッサ・ベイフルックが小首を傾げていた。 「ねえ、エミリエ。それはちょっと、どうかと思うよ? 可愛いデザインのにしたら?」 「何事も挑戦だよ! エミリエ、脱いだらすごいんだからね。……あ?」 すぐにエミリエは、4人がこちらを見ているのに気づく。 「な〜んかフロア中の男性客がそわそわしてると思ったら、ティアとサシャとジュリエッタとコケだー」 美少女揃いで目立つね、みんなも買い物? と、4人に手まねきしてから、エミリエはアリッサに向き直る。 「言ってやってよー。アリッサだってもう子どもじゃないんだから、たまにはセクシー路線でロストナンバーの男性陣を悩殺してみればいいじゃん」 「悩殺は、自信ないなぁ」 「そんな弱気でどうするの! 館長職って政治家でもあるんだよ。色っぽい女性政治家だとブルーインブルーとかのお歴々の腹黒そうなおじさまとの会談だって有利に進むかもよ」 「うーん、それはどうかな……? 会談に水着で行くわけにはいかないし」 考え込むアリッサをよそに、エミリエは、店員の手からセクシービキニを引ったくった。 さっさと試着室に入る。 そして、すぐに着替えてきた。 「どう?」 「「「「「……。……、……」」」」」 4人とアリッサは、顔を見合わせてから、口元を両手で押さえる。 肩を震わせ、お互いの視線を逸らす。 ……うん。 たしかに。 ボディラインがはっきりわかるビキニではある。 つまり。 エミリエの幼児体型が、くっきり、はっきり、あますところなく、強調されている。 子どもがおしゃまな水着を着ている独特の微笑ましさがあり、これはこれで可愛らしい。 「「「「「 ……似合う、ね…… 」」」」」 ようやく5人は声を絞り出した。 エミリエは、そうでしょそうでしょとご満悦である。 そして気を良くした勢いで、一同に似合いそうな水着を物色し始めた。 ……店員さんそっちのけで。 「ティアは清楚系が似合うよね。白のワンピースで小花のアクセントがある、これとかどう? ウエスト部分がシェイプされててスタイル良く見えるし、胸にリボンがついてて可愛いよ」 「サシャは可愛いのも似合いそうだけど、その褐色の肌と綺麗なうなじ、もっと見せなきゃだよ。髪をアップにして、背中が大きく開いた南国風ワンピースに花模様のパレオとかね」 「ジュリエッタはスタイルがいいから、それを最大限に生かさなきゃだね。……これかな? チェックパターンのオープンショルダーのビキニ。溌剌としてて、ちょっとオトナな感じ」 「コケは、水着に興味は……? ふんふん、あるんだね。そうこなくっちゃ! サイドにシャーリングの入ったフラワーパターンのスカートビキニとかいいんじゃない? 胸元とスカートにフリルたっぷりでラブリーだよ」 「アリッサは……。はいこの貝殻ブラの紐つきの……。冗談だよ、冗談だってばぁ〜〜!」 大騒ぎの挙げ句、それぞれの水着はようやく決まった。 結局アリッサは、スカイブルーボーダーのフリル付きビキニを購入した。 それはアリッサ的には大冒険だったため、「絶対、男のひとがいる場所では着ない」と宣言したそうな。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * そのあとも、乙女たちはそれぞれのお買い物に余念がなかった。 ティアが何着か洋服を買い入れている間に、サシャとジュリエッタは単独行動で雑貨コーナを物色していた。選び取った小物をプレゼント用に包装してもらっていたようだが、誰のために何を買ったかは秘密であるらしい。 その点、コケは素直で正直であった。 にっこりしながら、お土産を買いたいと言ったのだ。 彼女が『伴侶』と呼ぶ、異世界の住人のために。 百貨店ハローズには、オリジナルグッズも数多い。雑貨コーナーの充実ぶりは素晴らしく、どれも可愛くて目移りがしてしまう。 その素直さにあてられて、コケ以外の5人は、まあそれなりに真剣に、お土産選びに協力はした。 その結果、全員が指さしたのは……。 ハローズ印の、薔薇をかたどったキャンディと、摘みたてローズのスイートアロマキャンドル。 「「「「「これよこれ。きっと彼も大喜び!」」」」」 「……え?」 伴侶には……、あの……、似合わない、かも? そうは思ったが、スイートなお土産を前にした彼の顔を想像すると楽しくて、つい頷いてしまうコケだった。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * なし崩しというか、ここまできたらアリッサ&エミリエもプール→お泊まり会コース決定だよね、というか、そんなこんなで一同は、プールのチェンバーに向かった。 「……すごい。空中庭園みたい」 買ったばかりの水着に着替え、ため息まじりにサシャが言ったとおり―― このチェンバーは、滴るような夏の森を切り取って、その中にある湖をそのまま、白と青のタイルを交互に敷き詰めた楕円形のプールに差し替え、それを宙に浮かせたような――そんな趣きだった。 まぶしいほどの白いプールには、青く澄んだ水が張られている。強い陽射しを、綿菓子のような入道雲が程よく遮る。 プールを取り囲むように咲き乱れるブーゲンビリアを見たジュリエッタは、おや、と思った。 この花のありようは、確か、どこかで……、そう、緑豊かなターミナルのカフェで、見かけたような気がしたからだ。 ふぁさ、と、やわらかい羽音がする。 朱鷺が一羽、横切っていった。ジュリエッタの手にぽとりと落とされたのは、やはりブーゲンビリアの花。 ちゅん、と、スズメが鳴き、ハイビスカスとプリメラをサシャとコケに渡して繁みに消える。 花の隙間からこちらを伺っていたメジロは、デザートローズをティアの髪に飾るなり、素早く姿を消した。 妙に、鳥の多いチェンバーだ。 「男子禁制、乙女限定プール、なんですって」 くすくすと、ティアは笑う。 なんでも、とあるカフェの女性店員たちの口利きで、このチェンバーが用意されたらしい。 水泳が始めてだというティアに、じゃあ教えてあげる、と、アリッサが指導役をかってでた。 もともと筋の良いティアは、すぐにコツを飲み込む。 「えいっ!」 一足早くプールに飛び込んだエミリエは、問答無用でサシャとジュリエッタとコケに目がけて、ばしゃばしゃ水を掛ける。 「やったな!」 「目には目をじゃ」 「お返し、する」 サシャは両腕全開で水をすくい、ジュリエッタは的確にエミリエに水鉄砲をお見舞いし、コケは足を滑らせた。 盛大な水しぶきの王冠が、プールいっぱいに広がる。 少女たちの笑い声は、南国の小鳥のさえずりのように飛沫に溶け、弾けていく。 プールサイドには、パラソルと白いテーブルが設けられている。 その上に、いつの間にか――色鮮やかなトロピカルドリンクが人数分、置かれていた。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * ティアの家に到着した一同は、ちょうど届いたばかりの、ハローズのケータリングに歓声を上げる。 ホワイトペッパーの香りがすがすがしい、手長海老のポワレ。黒オリーブのペーストとキャビアが乗せられた、ひとくちサイズの小さなトースト。タイムとローズマリーで味付けされた旬の野菜のパスタ。オレガノとバジルの風味豊かな、貝と魚のソテー。 銀のお盆で運ばれたそれらを囲み、夕食を済ませる。 そのあとはもちろん、身支度を整えて、お茶とデザートとパジャマパーティーだ。 エミリエの三つ編みが解かれ、ふんわりと広がっている。 「三つ編みウェーブ、かわいい。こうしてるとエミリエも、普通の女の子に見えるね」 くすっと笑うアリッサに、エミリエは頬をふくらます。 「エミリエはいつも普通に可愛い女の子だもん!」 「イタズラさえしなければ、そうだよねー」 「それをここで言う? アリッサだけには言われたくないよぉ。ティアぁ、アリッサがいじめるよぅ~」 「そうね。アリッサも、イタズラと暴走さえしなければ、可愛くてしっかり者の館長さんよね」 ティアはブラシを手に、アリッサの髪を梳いていた。 「アリッサも髪型変える? ワタシ、編むよ」 サシャが器用に、アリッサの髪を纏め始める。 ティアもサシャも、しなやかな金髪の持ち主だ。ふたりの髪を間近に見て、アリッサは、小さくため息をついた。 「いいなあ……」 「どうしたの? アリッサ」 「金髪って、うらやましいなぁって。エヴァおばさまもロバートおじさまも、綺麗な金髪なのに……」 「アリッサのブルネットも素敵だよ。……ほら、できた」 「ふふ、不思議な感じ」 おさげになったアリッサは、くすぐったそうに肩をすくめる。 ごく薄いパイ生地に包まれた林檎の砂糖煮。絹のように滑らかなクレーム・ブリュレ。果実の女王、マンゴスチン。そして―― 緑の外皮の、ごつごつした、不思議な果実。 「カスタードアップルって、いうんですって。一度食べてみたかったの」 ティアご推薦の、珍しいフルーツらしい。 「どうやって、食べる?」 馴染みのない形状に、コケが首を傾げる。 「切って、スプーンですくうのかのう?」 「じゃあワタシ、切り分けるよ」 「待って」 交互にいうジュリエッタとサシャに、アリッサは首を横に振る。 どうやら、この果物の食べ方を心得ているらしい。 「執事の目もないことだし、そんなお上品な食べ方はしないの!」 カスタードアップルを掴みあげるなり、アリッサは、ぐいっと手で捻った。 果実は簡単に割れた。 すぐに人数分が配られる。 「スプーンを使わないで直接食べるのが美味しいのよ」 アリッサの進言に、おずおずと少女たちは、白い果肉をかじる。 アイスクリームのような食感の、とろけるような甘さを堪能しながらも、 「執事バレしたら、怒られるよ〜」 と、エミリエは突っ込みを忘れない。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * コケの髪を彩って、すずらんの花が揺れる。 「……恋? うん……、いろいろ、ある」 「そうなんだ。いろいろ、あるのね?」 「だけど、コケにとっては……嬉しいもの」 恋愛について前のめりに聞いたティアに答え、コケはそんな反応を見せた。 「ほほう、興味深い。では次は、サシャに聞こうかのう」 「えっ、ワタシ?」 ジュリエッタに話を振られ、サシャは頬を染めて恥じらう……、かと思いきや。 「わっかりました! 二番、サシャ・エルガシャ、いっきまーす! ちゃんと最後まで聞いてね。途中で寝ちゃうと嫁き遅れるよ!」 わりとあっさりと、ノリノリで、サシャは語りだす。 「それは、ドバイでの物語。ふたりの出会いから始めます」 「わー。楽しみ!」 ぱちぱちとティアは手を叩く。 しかーし。 サシャの語りには罠が仕掛けられていたのだった。 「ホテルの地下フロアでは、ロバート卿のゲームが行われていました」 「うんうん」 「定期的にディーラーが【ノーモアベット】と、賭けを締切ります。そして、ルーレット結果が判定されるのです」 「そうだったわね。……あれ? でも、彼との出会いは……」 「10枚のチップを元手に参加したワタシは、コインの数を数えました」 「……うん?」 「いちま~い、にま〜い、さんま〜い」 「うんうんうん」 「よんま〜い。ごま〜い。ろくま〜い」 「……ん」 「ななま〜い。はちま〜い」 「………。んん……」 心地よい名調子に、ティアがふぁあ、と、欠伸をした。 「きゅうま〜〜い。……いちまい、たりな〜い」 「……。……ふぁ……」 「何度数えてもたりな~~い」 「これサシャ、怪談になっておるぞ」 「恋バナ……、どこで寄り道してる?」 「最上階に迷い込んだ結果、ラウンジでカクテル飲んでますー」 「……わあ大人~。じゃなくて、戻ってきてー。ぐぅう〜」 「ティア、抱き枕抱えて、寝ちゃった……」 「これ。寝てる場合ではないぞえ。こんなときこそハリセンじゃ!」 「むにゃ~~。ぺしぺしっ」 律儀なティアは、夢の中でハリセンを振るっている。 ちなみにアリッサとエミリエは、ティアが寝る前に、とっくに倒れ込むように爆睡しており、嫁き遅れ必至であった。 。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ * さらに、枕投げ大会が行われたのだが……、 サシャの投げた枕が、眠りの世界に撃沈したティアとアリッサとエミリエの顔へぽんぽんぽんと直撃バウンドし、はずんだ反動でジュリエッタを急襲し、あやうくジュリエッタは雷を発動しかけ、またまたワンバウンドした枕は、ツタでガートしたコケの顔へとぽふっとおさまり―― ひとしきり、乙女たちは笑い合う。 なにしろ、ふかふかの羽枕のこと。 乙女たちの背の、見えぬ翼と同じこと。
このライターへメールを送る