クリエイターthink(wpep3459)
管理番号1390-11417 オファー日2011-07-21(木) 22:07

オファーPC ファルファレロ・ロッソ(cntx1799)コンダクター 男 27歳 マフィア
ゲストPC1 シィーロ・ブランカ(ccvx7687) ツーリスト 女 17歳 半獣半人

<ノベル>

 どこまでも広がる青空の下、海上都市ブルーインブルーは常らしからぬ賑わいを見せている。
 何せ今日は一年に一度の祭り、海神祭が催される日だ。
 まだ日も高いうちから動き出す人々が木材を組み立てて骨組みを作り、天幕を張り、作り上げた屋台がひしめき合っている。思い思いに着飾った男女は楽しげに談笑を交わし、頭に手拭いを巻いて意気込む店主が呼び込みに精を出す。
 そして――止まぬ喧噪の間に時折混じる、涼やかな鈴の音。
「風流って奴だな」
 行き交う人の隙間を縫いながら、ファルファレロ・ロッソは呟いた。ジャンクヘブン中を取り巻くお祭りムードを感じては居るが、まだそこに溶け込むには至らないのんびりとした独白。傍らを女性が過ぎるたび、レンズの下の瞳をスッと細めて値踏みの眼差しを注ぐ。が、すぐに脱力したように眼力を弛め、
「あぁ畜生いまいちだぜ!」
 馬鹿正直に喚いて黒髪を掻き回す。挙句、踵を踏み鳴らして喚く始末だ。
「Cacchio! Che palle!! どっかに居ねえのか、俺のお眼鏡に適ういい女は!」
 浮き足だった人々は恐れをなして肩を窄め、さながら蜘蛛の子を散らすようにサーッと退いた。怜悧な表情を不機嫌に歪めた男の周囲にだけ、余りにも不自然な空間が出来上がる。
 しかし、当の本人はそれを意に介した風も無く毅然とした闊歩を続け、不躾な視線も留まるところを知らない。
「ちょっといい感じだと思えば野郎付きか」
 凶悪な眼光と唸るような怨恨を真っ向から受けたカップルが、ギョッとしてまた一組逃げて行く。
 ファルファレロは短く舌を打ち、嘆くように天を仰いで、
「こんな事なら昨日の女をキープしとくべきだったか。っと」
 ごちた瞬間、ふと何かに気付いたように足を止めた。
 目端を掠めた白い色――白髪。頭頂からぴょこんと生えた狼耳に尻尾。ゆるやかに移動する人々の狭間で、何をするでも無く突っ立つ少女の姿には見覚えがあった。佇まいもさることながら、開放的な薄着と化した周囲の男女とは裏腹の厚着が、その存在感を際立たせている。
 あからさまな凝視の後で、ファルファレロはおもむろに身を翻して少女に対峙した。大股でずんずんと進んで行く。
 先行きを決定した男の行動は素早く、且つ大胆である。
「――ようレディ」
 過ぎし日の夜を思わせる挨拶を投げ掛けると、シィーロ・ブランカの両耳がピクリと震え、弾かれたように男へ向いた。賑わう通りを茫洋と眺めていた青い瞳が焦点を結ぶなり大きく瞠られ、静かに細められて行く。その表情からはたちまち感情が失われる。
「セクハラ眼鏡」
 素っ気ない一声に、セクハラ眼鏡は肩を竦める。
「ご挨拶だな。……てめぇな、もっとマシなモン着とけよ。今日はせっかくの祭りなんだぜ」
「余計なお世話だ」
 しれっと返したシィーロが明後日の方向を向いた。だが数秒後、ちろりと横目で男を窺う。唇が迷うように開いては閉じ、白い耳の先がしんなりと萎れて行く。
「……この格好は変か?」
「は」
 ファルファレロの口から笑息が漏れた。
「変じゃねえよ。ただまあ、もったい無えなとな」
 まだそう長い付き合いでは無いが、シィーロのファルファレロに対する感情は確かに変化しているようだ。少なくとも剥製マニアの領主の屋敷の依頼を受けた日の、あの強烈な敵意が向けられる事は二度と無いだろう。寧ろ好かれ始めている気配がする。いや確実に好かれている。
「これだからモテる男は辛えったら」
「え?」
「おおっと」
 珍しくも目尻を下げ、妄想の世界に没頭しかけていた男の表情筋が締まる。何事も無かったように頬を撫でながら首を振り、
「なんでもねえ、こっちの話。……で、とりあえず行くか」
「?」
 怪訝を乗せていたシィーロの目元が、更にその色を増す。
「行く? どこにだ」
「どこも何もどうせ暇だろ。一日付き合え」
「……」
 互いの間に沈黙が流れた。しかしファルファレロの悠々とした佇まいは変わらない。断られる筈が無いという謎の自信に満ちている。一抹の悔しさを覚えつつも、シィーロは目を伏せて溜息を吐いた。横暴な誘いを、なぜか拒絶する事が出来ない。
「……どうせも暇も余計だ」
「決まりだな」
 応じるなり、少女の細い手首に指が絡んだ。有無を言わさぬ力で引かれ、シィーロはつんのめるように歩き出す。
「っどこに行く?」
「そうだな、まずはやっぱりその服をどうにかしてえ。てめぇが格好一つで見違える事を俺は知ってる」
 思い掛けぬ言葉に息を呑み、目尻を染める。ファルファレロに見えぬ事をよしとしてそのままぶっきらぼうに続ける。
「何を着ればいいのか分からない」
「選んでやるよお姫様」
「……誰が姫だ」
「悪い気はしねえだろう」
 シィーロが鼻を鳴らし、掌をそろそろと握り返す。素直じゃない辺りも愛らしく思えちまうな。ファルファレロは自嘲の笑いを浮かべ、1秒後には少女に似合いの格好を思い浮かべながら、ゆっくりと腕を引いて雑踏に紛れた。

「変じゃないか」
「ああ」
 同じ問い掛けに、ファルファレロは深く頷いて見下ろす。
「いい感じだ」

 見立ては悪くないと胸を張って断言出来る。黒地に白基調の花を散らした浴衣。腰は深紅の帯でぎゅっと締め、抜けるような素足には下駄を履かせた。長い白髪はハーフアップに結い上げ、掬い上げるように小玉簪を挿す――薔薇が描かれた簪に指先で触れると、シィーロは肩口を震わせて目を合わせる。
「あの屋敷で着たドレスと似たような色だな」
 変わらぬ能面のなかで、青い瞳がさり気なく和らいでいるようだ。
「色の配分は逆だがな、思った通り黒も似合う」
 途端、まんざらでもなさげにぱたりと白い尾が揺れた。晒した項を気にする素振りで撫でながら、俯いてぽそりと呟く。
「首の辺りがすーすーする。……貴方は着替えないんだな」
「俺は今日はこの格好で居ても釣り合いが取れてる気がするからな」
 ふと、何か気付いたように瞬いたファルファレロの唇がにやつく。
「もしかして見たいのか?」
 反応を見るように細まる切れ長の瞳。からかう言葉がすぐに口を衝くのはもはや癖に近い。
「いや」
「てめぇが見てえって言うなら着替えてもいいんだが、さてどうするか……」
 シィーロが手を止め、いましも口笛を吹きそうな男を物言いたげに見る。何度も揺らしていた尾の先を沈め、やがて根負けしたように口を開き、
「見」
「――はいよ林檎飴お待ちどう!」
「おうありがとよ」
 露店の親父の声にみごと掻き消された。ずいと差し出される棒を取ったファルファレロが、流れるようにシィーロへ手渡す。つるりとした光沢を放つ、赤い赤い林檎飴。
「で、なんだって?」
「もういい」
 言葉を持て余して唇をもごつかせ、どことなくふてた表情で飴を舐めた少女が目を丸くする。
「美味しい」
「どら」
 すかさず首を伸ばすファルファレロから、驚きの早さで飴が逃げた。間無しに追い掛けようとすると、図ったようにサッと、シィーロは身ごと距離を退く。
「つれねえな。ひとくち位いいじゃねえかよ」
 悔しさの余り満面の笑みを咲かせた男を、青い瞳が剣呑に見遣る。
「黙れ尻軽。……前も思ったが、女に対してはいつもその調子なのか」
「あ? まさか」
 薄笑いを敷いていたファルファレロの表情が俄に改まる。
「流石に相手は選ぶぜ。それに、いつもならてめぇみたいながきんちょ……嬢ちゃんに手え出そうなんて思わねえんだがな」
「ふうん」
 際どいワードは聞き流したらしい。甘ったるい香りを放つ飴を舐め舐め、シィーロは少しの間を置いてそれとなく洩らす。
「なら、私は他の女とは違うんだな」
 お、とファルファレロの眉が上がった。これは間違いなく良いムードであると本能的に察する。手強い少女を口説き落とすには、まさにこのタイミングが最適だろう。
 だが。
 仄かに色付いた頬を見つめていると、急に二の句が継げなくなる。
 普段相手にしているような遊び慣れた女とは違う。本気にさせちまったりしねえか。
 それこそ娘のように年の離れたこいつと、もしも一線を越えたらどうなる?
 幻の恋がもしも――現の恋に変わってしまったら。
「おい」
 知らず知らずのうちに思案に沈み掛けた意識を、凛とした声が刺した。我に返って顔を上げると、可憐に着飾ったシィーロが心許なげに見上げていた。
「どうした」
「……てめぇに見蕩れた」
 飛ばした軽口に、少女は睫毛を瞬かせて一層紅潮する。
「……どこまで本気なんだかわからない」
「よく言われる。怒らせたか? 悪いな」
 逸れた回答にシィーロはやはり無言で飴を舐り、不意にスッと踏み出した。浴衣の袖を翻し、往来に紛れて進んで行こうとする。
 予想外の挙動に虚を衝かれ、ファルファレロは唖然とその姿を見つめた。が、すぐに足を早め、革靴で忙しく地を踏み締めて追い掛ける。
 おいおいおいおい。どこ行くんだよ。そんな格好で一人で居たら、すぐにどっかの悪い野郎にとっ捕まっちまうだろうが。
「シィーロ!」
 大声で叫ぶと、シィーロがピタリと足を止めた。
「他に何か食いてえものは。見てえものは? 全部奢ってやる。だから待て」
 僅かな間があり、華奢な背中がすす、と動いた。カラコロ、カラコロとぎこちない下駄の音を鳴らして後退し、ファルファレロの前に戻るなり棒読みで言う。
「焼き鳥」
「ああ」
「肉巻おにぎり、フランクフルト」
 ひたすら肉に特化したラインナップだ。男らしく頷き続ける。
「おう」
「それと――土鈴が欲しい」
「あ?」
「皆持っている鈴だ。りんりん聞こえる」
 言われて見渡すと、談笑する男女の腰や胸にはちいさな土鈴が目立つ。そういえば、今日の祭りでは鈴が重要な意味を持っているのだったか。聞きかじった伝承を思い出したファルファレロは頷き、手を差し伸べる。
「買ってやるよ」
「……」
 軽薄な男をジッと見つめ、それからやっと小さな掌が寄り添う。共に歩き出すと、ものの数分で張り詰めた空気が弛み、横目で盗み見た少女の顔も氷解するのが分かった。端を流れて行く露店の数々に心躍らせる横顔を見つめるままで、ファルファレロは人知れず息を吐く。
 この俺が本気で焦りかけるなんざ、全くどうかしている。
「ついでだから聞いておくが、前もだれかと来た事があるのか?」
 艶やかな後ろ姿に、懐かしい女の幻影が重なるのは気のせいだ。
「大昔にな」
 平然を装って受け流す。あの女ともこうした一時を過ごした事があった。郷愁から目を逸らすようにシィーロの尻を撫でようとして、思い切り引っぱたかれた挙句『ガルルッ』と唸られて笑う。

 日はあっという間に暮れて行き、祭りを堪能した二人はとある酒場に身を潜らせた。今日は外も中も変わらぬ賑わいを湛えており、いっそ喧しいほどだ。隅のテーブルを陣取るなり、ファルファレロは大袈裟に伸びをして襟元を弛めた。
「っあー、思ったより歩いたな。酒が飲みてえ。てめぇは?」
「同じでいい」
 シィーロが相槌を打つと、簪に括り付けた小さな鈴がチリリと小気味良い音色を刻む。忙しく動き回るウェイターを呼び止めて注文し、ファルファレロは頬杖を突いてぼやく。
「にしても、思ったより食うんだな。見てて胸焼けがしたぜ」
「美味くなかったか? 焼き鳥も、肉巻おにぎりも、フランクフルトも、どれも凄く美味しかった」
 ドン、と二人の前になみなみ注がれたジョッキが置かれる。一息で底をつかせる勢いで煽り、ファルファレロはぷは、と息を逃がして首を振る。
「味がどうじゃなくて、俺の3倍食うのが凄えって言ってんだ」
「いくらでも食べられる気がした」
「3つでストップかけて正解だったな」
 くっくと咽を鳴らし、細めた男の目元は眼鏡の向こう側で機嫌よく弛んでいる。シィーロとは対照的に、殆ど空きっ腹で居たぶん酒の回りが早い。手を付けようとしない少女を一瞥し、
「飲まねえのか? だったら俺が飲んじまうぜ」
 ガタ、と腰を浮かせ、椅子ごと距離を縮めるように身を乗り出した。
「む」
 ほぼ同時に、シィーロが口を噤んでダイレクトに仰け反る。
「なに警戒してんだよ。取って喰やしねえ」
「だったらそれ以上近付くな。寄るな。離れろ」
「こんにゃろう」
 一寸前の可愛らしい反応はどこへやら。鉄壁ガードを返り咲かせたシィーロが唸り声を上げる。間違いなく先のやり取りが弊害となっている事を悟りはするが、ほろ酔い気分がファルファレロのストッパーを外した。退くどころかほくそ笑み、
「いい機会だ、知っとけ。嫌がられれば嫌がられるほど男は燃えんだよ」
「な、」
 物騒な拳銃を扱うとは思えぬ繊細な手付きで、流れるように少女の顎を掴む。驚きに硬直する白いかんばせに、そのまま唇を寄せようとして――。
 ヒュン、と舞う何かが、たちまち二人の間に割り込む。
「――ッ!?」
 酒気を帯びたファルファレロの表情が、瞬時に切り替わった。速やかに視線を走らせると、斜め後ろのテーブルで屈強な男二人が対峙している。どちらの目も異様なまでにギラギラと血走っている。
「今なんつったテメエ!」
「ぶっ殺してやる!!」
 叫ぶなり、丸太のような腕が割れた皿の破片をぶん投げた。酒場の賑わいは一転して阿鼻叫喚に代わり、逃げる人々に倣ってファルファレロも迅速に身を縮める。同時にシィーロの身体も引き寄せようとするが――不運にも椅子足が傾き、バランスを崩した少女は横様に崩れ落ちた。
「あっ……!」
 滑ったシィーロの頭が悪漢の踵に当たった瞬間、キャアッ、と誰かの悲鳴が爆ぜた。
「んだこのアマ!」
 見下ろした男の顔が憤怒に染まる。懐に滑り込んだ手が抜き出したのは鋭利なナイフだ。躊躇いなく振り上げる先に、蹲るシィーロの姿。
 ファルファレロは息を呑む。
「ひ――」
 みるみる間に血圧が上昇し、怒張天に達す。何を思うが早く、床を蹴り上げて肉薄する。
「人の女に手え出すな!!」
「げふっ!!」
 横合いからいきなり跳び蹴りを喰らった男が、物凄い勢いでぶっ飛んだ。そのまま壁にぶつかった果てに鼻血を吹き上げて沈む。あまりの勢いに片割れがポカンと目を剥き、そのあとでなぜか敵意をファルファレロに向ける。
「な、なんだテメエエ!! ――うがっ!」
「黙れくそったれ! 今そいつに何しようとしやがった! ええ!?」
 胸倉に掴み掛かり、強烈なジャブを浴びせると、これまたすっ飛んだ男がグラスの群れに突っ込んでガシャアアンと派手な音が上がった。その弾みで周囲の人々にも興奮が飛び火する。『あっいてっ』『ぶつかんなよ! 蹴るんじゃねー!』――ワッと声が上がり、狭い店内のそこかしこで酔っぱらい同士の取っ組み合いに発展。いよいよ乱闘へ雪崩れ込む。
 騒ぎが拡大するにつれ、胸が高鳴るのは性質か。ファルファレロは目的も無く飛び掛かってくる男を拳で沈め、飛び交う食器をかいくぐり、掠り傷一つ負うことなく目を剥いて哄笑した。眼鏡のブリッジを優雅に押し上げる余裕すらある。
「はっはあ! なんっかよく分からねえが面白え事になってきたじゃ」
「あほんだら!」
 と、どこからともなく伸びる手が瞬く間にファルファレロの耳朶を捕えた。
「ぃっ!?」
 しなやかな指からは想像も付かぬほどの怪力に戦いて頬を攣らせると、振り向く先には怒気を漲らせたシィーロの顔があった。今までテーブルの影に隠れていたのだろう、絶句している間にも踵を返し、耳から引き摺るように進んで行く。
「ッてめ、おい耳が、千切れ……っ」
「私を忘れてどうする! 鉤爪にしないだけ有り難く思え」
 肩を怒らせた少女の浴衣はすっかりくたびれ、ヘアスタイルも乱れきっている。喚く男を意に介さず扉を潜り外へ抜けると、どよめきは薄れて夜の外気が二人を包み込んだ。通りを突っ切り、人気のない場所に辿り着くなり漸く離れる。連行した男を見もせずに、少女はふん、と鼻を鳴らす。
「全く、酷い一日だ」
 だが、耳をしきりに気にするまま上向いたファルファレロの顔は、悪びれることなく弛んでいる。
「そうか? まんざらでもなかったって顔に書いてあるぜ」
「何を……」
 青い瞳が呆れたように細まり、『馬鹿な』と動きかける。ただ、すんでの所で呑みこんだのは脳裏を過ぎる言葉があったからだ。
 人の女、か。
 傍若無人な言いようだと思うにも関わらず、どうにも目尻が熱くなる。だが、所詮こいつは軽い男だ。肝心な言葉は寄越そうとしない。これ以上好い目を見せてやるのも、癪に障る――胸の疼きを抑え込み、シィーロは極めて無愛想に答えた。
「まあな」
 色々ありすぎたものの、楽しかったのは事実だから。
 すっかり解けてしまった前髪を掻き上げ、顔の火照りを誤魔化すようにそっぽを向こうとしたシィーロは、そこで接近する影に気付いて眉を動かした。ゆっくりと顔を上げ、瞬いた直後。
 唇に違和感。
 ちゅ、と濡れた水音を残して、離れる何か。
 そう、シィーロは忘れていたのだ。今のファルファレロは素面では無い。感傷の念を一時的に忘れ去った男は、ぶわりと尾を膨らませたシィーロを近く見遣り、へらへらっと笑う。
「ああいやなんとなくいい雰囲気でイケる感じがしてこりゃキスの一発位はしとかねえと男が廃ると」
 ぐん、と風が唸る。
「何をするこのセクハラ眼鏡!!」
 色男の顎でゴッ、と爆ぜる鉄拳と、乙女の絶叫――波瀾万丈な初デートは、落ち着き止まぬまま幕を閉じたのだった。

クリエイターコメント大変お待たせいたしました! プラノベオファー嬉しく思っております。
捏造歓迎OKとのことでもう好き勝手にやりました! 言い訳はしません! ……が、二人の関係性としてこれでいいのかな、とそこは些か自信に欠け、もしも間違っているようでしたら申し訳ありません。でもでも、とっても楽しく書かせて頂きました。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
このたびは本当にありがとうございました!
公開日時2011-08-24(水) 21:50

 

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